作成日:2020年5月月10日

シャープレシオの推定精度と統計的検定力に関する考察

運用成果の評価指標として最も広く用いられているシャープレシオについて、有限サンプルからの推定精度と戦略間の差の検定力を理論的・実証的に考察した。シャープレシオの推定量は漸近的に正規分布に従うが、そのサンプリング誤差は一般に認識されているよりもはるかに大きい。たとえば、真のシャープレシオが0.5の戦略であっても、5年間(60ヶ月)の月次データでは95%信頼区間の幅が±0.4程度に達し、事実上シャープレシオが正であるかすら確定的に判断できない。本稿ではJobson-Korkie検定およびLedoit-Wolf検定を用いて2つの戦略のシャープレシオの差を検定するために必要なサンプルサイズを理論的に導出し、実務上の運用評価においてどの程度慎重な解釈が求められるかを具体的な数値例とともに示す。